2018年6月9日土曜日

直島(2018. 6. 9)

 瀬戸内海島歩き。今回は直島。予定ではこの次の休みにしていたが、台風5号の接近にともない天気が崩れるので、1回繰り上げて今日にした。
直島は「アートの島」として世界的にも知られている。美術館の他、屋外展示物も多くあり、海外からの観光客も多い。岡山県宇野から近いが、香川県に属する。今回直島を半周し、宮浦エリア・木村エリア・美術館エリアを回り、風呂は本土に帰ってから、宇野港の「たまの湯」に行くつもりである。


朝一の新幹線で6:40に岡山に着く。6:44の瀬戸大橋線・児島行になんとか間に合う。
新幹線から在来線への乗り換えの時、間の時間が短くて16両編成の場合、降りる前に真ん中の7~8号車あたりに車内移動しておくことが必要だと、今回思った。自分はだいたい自由席(ふつう1~3号車)に乗るので、下りてからホームを歩く時間を短縮するため。なお、岡山から宇野行直行便もあるが、多くは瀬戸大橋線と宇野線が分岐する茶屋町で乗り換える。
茶屋町で宇野行に乗り換え、8時前に宇野に着く。直島行フェリーは、8:22なので十分間に合う。

フェリー乗り場は歩いてすぐ。

四国汽船・直島行きフェリー。

船は大きく広い。上は展望ラウンジになっている。

客室も広々としている。

宇野港を出発する。おしゃれな船で気分もうきうきする。

直島までは船で20分と近い。見えるのは直島北部の三菱マテリアル直島工場。金属のリサイクルをしているが、最近は三菱マテリアルはデータ改ざんでマスコミをにぎわしている。

ほどなく直島港に到着。直島のシンボルである赤いかぼちゃが見える。

土曜日のせいもあって観光客が多い。

宇野~直島往復¥560。

草間彌生「赤かぼちゃ」。宮浦港のすぐ側にある。外国からのお客さんが写真を撮っている。おそらくspanish。
 『太陽の「赤い光」を宇宙の果てまで探してきて、それは直島の海の中で赤カボチャに変身してしまった』と草間彌生自身が語った作品。草間作品の特徴である水玉のいくつかはくりぬかれており、内部に入ることができる。(直島観光たびサイトHPより)

 ジョセ・デ・ギマランイス「BUNRAKU PUPPET」。(文楽人形)
 香川県の無形文化財に指定されている「直島女文楽」。その動きや着物の裾さばきの美しさに着想を得て制作された作品。横には同氏制作の観光案内看板も設置されている。(直島観光たびサイトHPより)

港から少し歩いていくと…

藤本壮介「直島パヴィリオン」。
直島町町制施行60周年記念で制作されたオブジェ。27島からなる直島諸島の「28番目の島」をコンセプトに制作された作品。約250枚のステンレス網で構成され、「赤かぼちゃ」同様、内部に入ることができる。 (直島観光たびサイトHPより)

港の前にはレンタル自転車・バイクの店。交通は町内バスしかない島を回るのに利用する人が多い。だだし、自分は島を歩いて半周するのでパス。

路地に入ると、直島銭湯 「I♥湯」(あいらぶゆ)。
アーティスト・大竹伸朗が手がける実際に入浴できる美術施設。島民の活力源として、また国内外から訪れるお客様と島民との交流の場としてつくられたこの銭湯は、外観・内装はもちろん、浴槽、風呂絵、モザイク画、トイレの陶器にいたるまで大竹伸朗の世界が反映されています。浴槽につかり、全身でアートを体験してみてはいかがでしょうか。(直島観光たびサイトHPより)

銭湯は13:00から利用できる。島巡りした後に浸かってもいいが、人も多いだろうし、船の時間も鬼になり落ち着けそうもないので、今日は外観のみ見学。なお、土日に限り、10:00から中を見学できる。

宮浦エリアを一回りし、木村エリアに向かう。ちょうど島の西岸から小山を越えて東岸に行くことになる。途中、この規模の島にしては珍しくコンビニがあった。

のどかな風景を眺めながら、歩いていく。

木村エリアは右の道。少し暑くなってきた。風呂用に持ってきたタオルを持ち出し、汗を拭く。

自分もよく理解していないのだが、木村エリアは「家プロジェクト」と言って、既存の家をアートにしている。木村エリアに入ってすぐ目に着いたこの廃屋もその一つ。マップでは「家プロジェクト はいしゃ」。「廃舎」の意味かと思ったが、かつて歯医者だった建物。
昔は歯科医院だったようですが、その面影は全くありません。 「はいしゃ」には大竹ワールド全開の空間が広がり、騒然とした雰囲気に圧倒されます。 中も面白いですが、家の周囲も細かいあしらいが施されており、見る者を楽しませてくれます 。(せとうちの島々HPより)

エリアの入り口に直島町役場。なんとなくアートっぽい。

その隣。ここも家プロジェクトのひとつかと思ったが、ホールだった。

ANDO MUSEUM。
安藤忠雄さんが取り組んできたプロジェクトや、直島の歴史を模型や写真で紹介しているミュージアムです。 外観は古民家そのものですが、中は安藤建築特有のコンクリート打ちっぱなしの 空間が広がります。建築にあまり興味がない方でも楽しめる小さな美術館です。
昔は歯科医院だったようですが、その面影は全くありません。 「はいしゃ」には大竹ワールド全開の空間が広がり、騒然とした雰囲気に圧倒されます。 中も面白いですが、家の周囲も細かいあしらいが施されており、見る者を楽しませてくれます。(せとうちの島々HPより)

実は家プロジェクトは有料で、単体だと¥400~500。共通券でも¥1000~かかる。後から行く美術館の入場料が結構な値段なので、今回は外観のみ見て歩く。また、これと言った目印もなく、マップを見ながら迷い、行ったりきたりしている。同じように待ち歩きしている、おそらくamericanの家族。

さらに、A~Eにグループ分けされた、どちらかというとシニアの集団に出会う。この人たちとは後ほど再会することになる。

うろうろしていて港に出た。木村港→があるので行ってみる。

これも作品かと思ったが、雲をイメージした待合室。

中に入ってみたが暑かった。外観はかなりのインパクトがある。

ここまで島を歩いてきて気づいたが、禁煙が加速される昨今にしては珍しく、島の要所要所に喫煙場所が整備されている。普段は、吸殻をタバコ箱に押し込んで持ち歩くが、今回はそれをしなくてすんだ。

角屋(家プロジェクト)。マップでよく確認しないと気づかない。

予備知識がなかったので、どこがプロジェクトなのか分からなかったが、中の展示を知ると、有料でもここは入っておいてもよかったと思う。
家プロジェクトで最初に完成した「角屋」は、200年ほど前に建てられた歴史のある家屋です。 中にはなんと水を張った空間があり、水の中で光る数字が0~9まで明滅を繰り返しています。 カウンターの速度は直島に暮らす人々が設定しており、島の人とアート作品が交わるきっかけにもなった作品。(せとうちの島々HPより)

角屋横の道を山のほうに上がる。

そう高くはないが神社のある頂上を山越え。

山から主道に合流すると、あの団体と再会する。

自分と同じ方向に歩くので、いつしか自分も集団に紛れてしまい、一緒に歩いている。

この分岐点で団体とたもとを分かつのだが、案内のオニイサンに呼び止められた。
「こっちを歩いてください」
「……」
どうやら、自分を団体のメンバーと思ったらしい。年恰好も同じなので無理もない。自分は、一人旅だと告げると、恐縮していた。
それを見て苦笑いしているおばちゃんに聞いた。
「どちらから来られたんですか?」
「高松です。」
「そちらは?」
「広島です。」

彼らは「つつじ荘」に行くと言って、山に入っていったが、自分は海沿いに歩く。

続いて、島の西岸に戻る道を歩き、美術館エリアに向かう。これも民間の家プロジェクトだろうか。絵にはサインが入っていた。

しばらく行くと「コメづくりプロジェクト」があった。田植えなどの体験ができる。
直島の積浦地区は、昔は山手の奥まで田んぼが広がっていましたが、近代化が進むにつれ、次第に休耕田が増えていき、コメづくりによる共同作業の場もなくなっていきました。「コメの体験」では、田んぼの土や苗の感触を全身で味わいながら、コメづくりを知る世代から若者や子供たちへと、コメづくりの文化を伝え、人と自然との繋がりを感じ、積浦でのコメづくりについて考えていきます。年3回の「コメの体験」にすべて参加された方には、「コメの体験」で育てた直島米を差し上げています。(ベネッセアート直島HPより)

コメ作りの反対側に、「環の里ビオトープ」なるものがある。なんだろうと案内を読みかけたら、おじさんが話しかけてきた。メダカやホタルを飼育しているらしい。

今からメダカに餌をやるから見て行けと誘われた。急ぐ旅でもないので、いろいろ質問する。

質問されてうれしいのか。今度はホタルの餌を見せると言う。

取って来たのはカワニナ(川蜷)。ホタルを飼育しているのだが、今は光らなくなった…
自分の知っている山口市や湯来の蛍祭りをきっかけにいろいろ話す。自分が広島から来ていると言うと、おじさんもよく広島に行くとのこと。おじさんと話が大いに盛り上がった。

おじさんにお礼を言って、美術館エリアに向かう。路傍には睡蓮の花。そういえば、地中美術館にはモネの「睡蓮」が展示してある。直島訪問の一つの目的である。

島の西岸に戻る。つつじ荘の案内がある。あのシニアの団体はつつじ荘に行くと言っていたが、ひょっとしたら、またここで再会するのか。

どういうわけか「おやじの海」の記念碑がある。自分は演歌はそれほど好きではないが、この歌は聴いたことがある。記念碑の説明によると
『有線放送新人賞・日本作詩大賞大衆賞を受賞し大ヒットした「おやじの海」は、三菱マテリアル直島精錬所で同じ職場で働く二人の男によって誕生した。直島出身の佐義達雄が作詞作曲し、秋田県出身の村木賢吉が唄った。』

ボタンを押すと「おやじの海」が流れ出した。しばらく聞いていると、どこかで一緒に歌うおじさんの声。やはり、あのシニアの団体だ。腐れ縁に、思わず苦笑した。

海辺にやけに低い鳥居。砂に埋もれて低くなったのか。

これから向かう美術館の一つベネッセミュージアムはあの山の上にあるが…

ここにはあの赤いかぼちゃと同じ作者の「黄色いかぼちゃ」が展示されている。

ここでも、写真が人気だ。

山の麓にはショップや宿泊施設がある。

その庭にもアート作品の展示。

ショップの前にある、人形の作品と一緒に写真を撮る島歩き女子たち。おそらくchineese。こうして自分が撮った写真を見ると、展示作品には必ず女子が写っている。女性を選んで意図したわけではない。それだけ、若い女性に人気なのだろう。

ミュージアムまでもうひと歩きするので、ここで椅子に腰掛けて一休み。

ミュージアムに登って行くのだが…

島自体がアートなので、あちこちに作品が展示してある。

周辺の作品を見てまわるので、なかなかミュージアムにたどり着けない。

とうとう海まで下りた。ここはベネッセ施設専用の桟橋。

こころなしか、階段まで作品に見える。

まさか難破船でもあるまい、これも作品。
 大竹伸朗「シップヤード・ワークス 船尾と穴」1990年制作

熱心にカメラを除く外国女子。
 大竹伸朗「シップヤード・ワークス 切断された船首」1990年制作

カメラ女子のフレンドか。遠く母国に思いを馳せてるのか、異国のお嬢さん。

再び、ミュージアムを目指す。

先ほどの海辺を見下ろす。お嬢さん、まだ海に浸かったまま。よほど気持ちいいのか。

やっと、ベネッセミュージアムに到着。入館料¥1030。

館内は撮影禁止だが、誰もいなかったのでこっそりカシャ!

庭に出る。

これは撮影OK?

山の中にアンテナか? これも作品だろう。
ベネッセハウス ミュージアムは、「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに、美術館とホテルが一体となった施設として1992年に開館しました。瀬戸内海を望む高台に建ち、大きな開口部から島の自然を内部へと導き入れる構造の建物は、安藤忠雄の設計によるものです。 絵画、彫刻、写真、インスタレーションなどの収蔵作品の展示に加え、アーティストたちがその場所のために制作したサイトスペシフィック・ワークが恒久設置されています。アーティストたちは自ら場所を選び、作品を制作しています。作品は展示スペースにとどまらず、館内のいたるところに設置され、施設をとりまく海岸線や林の中にも点在しています。直島の自然に向き合った、または建築に触発された作品など、美術館の内外に点在するサイトスぺシフィック・ワークと合わせて、自然とアートと建築が融合する稀有な場をつくりだしています。(ベネッセアートサイト直島HPより)

 ミュージアム内には弁当を広げる場所がなかったので、外に出て、パラソルの下で昼ごはん。

昼ごはんを済ませ、次は地中美術館に向かう。その途中に、例によって野外展示作品「文化大混浴」。

また、海辺まで下りてみる。何と何の文化が混浴してるのかよく分からないが、そんなこと考えてみるものでもないだろう。

実は、ミュージアムエリアにはベネッセミュージアムと地中美術館以外にもう一つ美術館がある。李禹煥美術館(リ ウファンびじゅつかん)。

島歩きがメインで、美術館巡りだけが目的でもないので、今回は通り過ぎる。
現在ヨーロッパを中心に活動している国際的評価の高いアーティスト・李禹煥と建築家・安藤忠雄のコラボレーションによる美術館です。半地下構造となる建物のなかには、70年代から現在に到るまでの絵画・彫刻が展示されており、建築と響きあうことで、空間に静謐さとダイナミズムを感じさせます。海と山に囲まれた谷間に位置するこの美術館は、自然と建物と作品が呼応しながら、モノにあふれる社会の中で、我々の原点を見つめ、静かに思索する時間を与えてくれます。(直島観光たびサイトHPより)

地中美術館が近づいてきた。

チケット売り場は美術館とは離れたところ、手前にある。入館料何と¥2060。ここまで来て高いからと、パスする人もいないか。

美術館入り口までしばらく歩く。下から、ベネッセのショップで写真を撮っていたおそらくchineeseの島歩き女子たちが、上がってきた。自分と同じコースを歩いてきたようだ。どちらからともなくお辞儀した。笑顔を返してくれた。

地中美術館入り口。

ここで写真を撮ると、係員の若い女性が「建物も含めて撮影はご遠慮願います。」

と言うことなので、入り口だけ。

2004年に設立された美術館。安藤忠雄設計の館内にはクロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品が恒久設置されています。アーティストと建築家とが互いに構想をぶつけ合いながら作り上げたこの美術館は、建物全体が巨大なサイトスペシフィック・ワークといえるでしょう。瀬戸内海の美しい景観を損なわないよう、建物の大半が地下に埋設されたこの美術館は、地下でありながら自然光が降り注ぎ、一日を、また四季を通して作品や空間の表情が刻々と変わります。(直島観光たびサイトHPより)

このとおり、なかには展示は3コーナーしかない。各コーナーは、天窓から自然光を取り入れていて、いるだけでも気持ちいい。¥2060の入館料を払って、素通りもないので、画像はHPから拝借する。
①クロード・モネ
これ以外に、広々とした展示室に4~5作品が展示してあった。室内には、スリッパに履き替えて入る。

②ジェームズ・タレル
広い空間があるだけだったが、自分が立つ位置で、見えるものが違ってくる。別世界の部屋にいる気分になる。一度に8人のグループで鑑賞するので、順番が来るまで並んで待った。
「Excuse me.Make twi lines」
「二列にお並びください」
係りのおねえさん。バイリンガルだ。

③ウォルター・デ・マリア
パワースポットと思ったのか。外人のおにいさんが、真ん中の黒い玉に手を押し当てていた。おにいさん「Don't touch」だよ。

さすが地中なので迷路のようで、自分が今どこにいるのか分からず、中をうろうろ。あれ、ここはさっき来たカフェだ。カフェでアイスコーヒーを飲んで、外に出た。

さて、これで最初に予定した直島の島巡りは終わり。美術館も面白かったが、海と山、島全体が大きな展示場になっていて、歩いていて飽きなかった。宇野行きのフェリーに乗るため、宮浦港に向かう。

高台から眺める海岸。いい風景だ。

しばらく歩いて、遠くに「風のバイオリン」が見えてきた。

宮浦港に戻る。港にちょうど、町営バスが着いたところ。バスの模様は赤いかぼちゃ。ベネッセ美術館には、このバスで行くことのできる。また、ベネッセの運行するシャトルバスも走っていた。

次の船まで小1時間あるので、港の周辺を歩く。大漁旗を飾った居酒屋。

ネットでも紹介されていた、ギャラリー6区。もとパチンコ店だそうだが、小さなパチンコ店だ。現在は、展示準備中で中には何もなかった。

宇野行きフェリーがやってきた。

直島から帰る人だけでなく、この時間で直島に来る人も多い。今からだと、ベネッセにでも停まるのだろうか。

本土に戻り、今日の風呂「たまの湯」に行く。駅前ロータリーから、歩行者専用の入り口がある。

入浴料、土日料金でなんと¥1900(平日は¥1600、タオル館内着つきだがそれでも高い)。美術館入館料といい、温泉入浴料といい、豪華な?旅となった。

宇野線で岡山へ。

やはり茶屋町で乗り換える。行き先の書いていない2番線ホームが乗り換え専用のホームのようだ。

岡山から新幹線。午後7時前に帰宅した。のどかな島に、多国籍の観光客。シニアの団体にも紛れて、思い出深い旅になった。

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