JRは、新幹線で福山、福山から福塩線で吊橋にいちばん近い「河佐」という駅まで。ただし、福山から河佐までの直通はなく、備後府中で乗り継ぐ。
吊橋のほかに何かないか調べた。職場のおしゃべりの中で話題になった「せらの豆腐屋」(どうやら豆腐が有名らしい)、例によって温泉、大衆演劇も行っている「せら温泉」を加えて、
JR河佐駅~八田原ダム~吊橋~芦田湖(ダム湖)周辺を歩く~せらの豆腐屋~せら温泉~甲山営業所から高速バス
というコースを考えた。途中、これといった名所旧跡もないので、ただひたすら歩くコースになる。
マップで図ると歩行距離22km、歩行時間5時間半。かなり長い距離だが、早足で歩けば、帰りのバスの時間15:34に間に合うだろう。(世羅には四季折々の花々が綺麗な世羅高原がある。とくに一面のひまわり畑は見たいが、歩いて行ける場所ではないので別の機会に車で行くことにしよう。)
備後府中発三次行で、8:30にJR福塩線・河佐駅に着く。単線・1両編成だが、三次からの乗客が、ローカル線にしては尋常でないくらい多く、座れない人も多かった。この人たちも、福塩線沿線の山歩きをするのだろうか、と車内で思っていたが、河佐駅で降りる人は自分を含めて3名。多くはそのまま。そうか、三次と言えば三江線。この3月31日で廃線になるので、それに乗るためか。そういえば、この福塩線も、ここに来るまで、木々の間を超スローで走り、ときおり、木々が車窓にあたる音がしていた。自分が2017年12月に乗った三江線の風情とよく似ていた。
河佐駅は無人駅だが、トイレがきれいだ。
よーし、歩くぞ。八田原ダムまで、車道でなく、遊歩道がある。右の側道に入る。
渓谷沿いに歩いていく。
このあたりは、河佐峡と言い、キャンプ場などもある。
途中、さっき乗った福塩線の高架下を通る。
おや、さっき福塩線はくぐり抜けたはず。また、高架橋がある。観光用電車でも走るのか。
八田原ダムが見えてきた。折れ曲がって登る道があるので、あそこを登り、ダムの上から、吊橋方面に抜けられるだろう。
ダムの下に行こうとすると、パークゴルフ場の管理人のおじさんが近づいてきて
「今、ダムの放流中なので、登れんかもしれませんね。」
「登れんかった場合、夢吊橋のほうに行くにはどうすればいいでしょうか」
「少し戻ると、トイレがあったでしょう。そこから、県道に上がる道があるので、そこを歩くことになります。」
「ありがとうございます。とりあえず、ダムの下まで行って確認してみます。」
六甲有馬ロープウェイの運休に続き、今日も予期せぬ事態だ。
八田原ダム、放流中。そういえば、ここに来るまでに電光掲示板で「放流中」と表示はされてはいた。
ダムの下に行ってみる。やはり立ち入り禁止。
見学可能時にはエレベーターも利用できるようだが、同じく「ご利用できません」
やむ得ず、来た道を戻ることにする。ここに来たときに気になった所があるので、さっきのおじさんに聞いてみる。
「あれはなんですか?」
「以前、福塩線はここを通っていたんですよ。ダムのの向こうには八田原駅があって…」
なるほど、さっき「観光電車?」と不思議に思ったのは、旧福塩線の軌道だったのか。納得。
反対側には、トンネルの跡もある。
来た道を戻り、おじさんに教わった箇所から坂を上る。かなりの坂道だが、ダムの側面を上まで上がるのと同じ高低差だと思えば当然だ。
県道に出て、ダムまで歩く。スマホの標高計測でアプリで計ると、標高220m。竜王山の途中と同じ高さになる。
県道からダムに行く道に左折する。
ダムまで結構な距離。
「水没記念碑」。今日は「水没」がキーワードのようだ。
ダムの入り口に行ってみるが、やはり「立ち入り禁止」。誰もいないので、強行突破! …やめた。
予定通りダムの下から登るとここに出るのか。
はるか向こうが、先ほど歩いた河佐峡。
またしても引き返すことになるが、この辺りは公園にもなっているので、少し回ってみる。「遊学館」、ダムに関する資料の展示がある。
「夢の湧水」。自由に取水できる。おばちゃんに頼んで、自分も飲むために割り込ませてもらう。コンビニたどで買う「ミネラルウォーター」の味がする。この後、おじいさんが大量のボトルを持ってきて汲んでいた。人気の水のようだ。
さて、コース変更をどのようにするか。ベンチで一服しながら考える。
予定のコース:夢吊橋からダム湖を北上し世羅町に至る。
変更後のコース:先にダム湖に沿い北上し、夢吊橋から数えて3つ目の「いしょうばら大橋」を渡り右折。南下して八田原大橋の横を通り、夢吊橋を渡り、世羅町に至る。
マップで見る限り、予定より若干距離が増えそうだが、とうふ屋で昼食、遅くとも午後2時までには「せら温泉」にたどり着くだろう。
いざ出発。
ダムの入り口まで戻り、県道を左折(北上)する。
※まっすぐ行くと八田原大橋を渡り、夢吊橋に至るが、今回は右折する。※
ひたすら県道を歩く。ウォーキングコースにもなっていないので、自分の他に歩く人はいない。
目標の橋までは、まだかなりある。
水没に関連した碑がある。ダムができる以前に平家集落があり、鹿による獣害を防ぐために700mの石垣を作った。ダム造成により水没するので、敬意を表し一部をここに残す…の旨が書いてある。
この反対側に妙な建造物がある。壁に、ヤマメ釣り堀・焼餅・食堂・便所と書いてある。建造中止の建物にしては変だし、意味不明。
やっと、目標の「いしょうばら大橋」に着く。橋を渡って左折(南下)する。
橋を渡って写したもの。ここで一服。
芦田湖(ダム湖)の西側を夢吊橋に向かい南に歩く。
斜面から山水が勢いよく流れている。
山の至る所から、山水がダムに注いでいる。これで水かさが増し、ダム放流→立ち入り禁止になったのか。
なぜか、ヘリポートがある。後で調べたら、世羅町には地域防災計画の一環として9つのヘリポートがあり、ここはその一つ。どういう事態に使用されるのだろうか。思いつかなかった。
八田原大橋が見えてきた。
当初のコースだとこれを渡る予定だったが、今回は横を通り過ぎ
夢吊橋に向かって歩く。
夢吊橋への入り口。「世界一」なにが世界一かは書いてない。
夢吊橋が見えてきた。
夢吊橋:広島県東部の芦田川水系の八田原ダムにある歩行者専用の吊り橋。
PC吊床版橋のなかでは支間長が世界一長く、ギネス・ワールド・レコード社により認定されている。PC吊床版橋とは、プレキャスト(PC)床版を両岸のアンカーブロックから張り渡したPCケーブル(PC鋼材)で吊っている橋。この構造から、中央付近で飛び跳ねるとゆっくりとした揺れを体感できる。橋を渡りながら願い事をするとその願いが叶うと言われている。(ウィキペディア)
という意味で世界一。残念ながら、願い事云々は後から知ったので、願い事はしなかった。
軽く跳ねてみたが、橋の揺れは感じなかった。
渡り切って振り返ると、ご老人たちが歩いておられる。
遠くに八田原ダムが見える。
夢吊橋を後にして歩いていき、車道と合流する。ここからさらに南へ下り、184号線と合流し右折し世羅の町に向かうことになる。
自分の歩く方向と逆に水が流れている。ということは、自分は上り坂にいるということだ。
尾道自動車道が見えてきた。あそこをくぐると184号線との合流地点に着く。
ここで時間を見ると、13時半。コース変更時に予定した時間からかなり遅れている。マップで見る距離もかなりあるので、とうふを食べて2時に世羅温泉は難しい。最初のコースだと、とうふ屋は道沿いにあったが、変更後のコースでは、一度とうふ屋まで行って戻ることになるので、距離も増える。そこで3つの案を考えた。
①帰りのバスは15:34 とうふ屋のみ
②帰りのバスは15:34 温泉のみ
③帰りのバスは次の18:30 とうふ屋やと温泉のセット
別に急ぐこともないので、③でもかまわないのだが、歩き詰めで足裏が痛くで仕方ない。テンションも下がっている。早く温泉でもつかってほぐしたい…
②に決めた。
遅くとも2時半に温泉に尽きて30~40分過ごし、15:34のバスに乗ろう。1時間歩けば、温泉までたどり着くだろう。
184号線を世羅の町に向かってひたすら歩く。足の痛みに耐えながら、まるで苦行僧のごとく。道すがらに、廃業した喫茶店。
これまた廃業したコンビニ。名所旧跡のない本日のコース風景を象徴するような風情。
気が付けば、ずっと上り坂である。マップで現在地を確認するが、思うほど進んでいない。
せら温泉まであと3.5㎞。現在すでに14時25分。さっき予定した温泉到着時刻だ。これでは温泉も入れない。変更コースを、もっと短くして※の地点で、八田原大橋→夢吊橋→世羅町にすればよかったか… などと若干後悔する。いつもながら、"思い描くコース" < "実際のコース"と、食い違う。
「登坂車線ここまで」やっと峠を越える。
せら温泉、次の信号左折。もう、温泉もあきらめた。
せら温泉に着く。時刻は15:12。今日は通り過ぎる。
バス停に向かう途中、趣のある橋がある。この辺りが世羅町の中心になるのか。
橋の上からの眺め。なかなか風情のある町並み。バスを1便遅らせ、町を散策して風呂に入るという手もあるが、もう歩く気力がない。
バス停があるはずの営業所に着くが、バス停が見当たらない。郵便局で聞くと、営業所の中にあるとのこと。
広島~世羅を走る「ピースライナー」乗り場。広島まで¥2050。
乗客は、自分を入れて2名。広島に着くまで、乗り込んでくる人はいなかった。
田舎を走る路線バスの乗客は極端に少ない。本数が少ないので、自家用車を使用。乗客が少ないので、本数が減る…という悪循環で少なくなったのだろう。最近乗ったバスでは
五日市~湯来温泉
いずれも、乗客は1~2名であった。
本日のウォーキングを整理すると
こうしてみると、A(夢吊橋)~ B(世羅町)の距離がとても長いのが分かる。河佐峡・八田原ダムでの2回の引き返しも距離延長の一因になった。スマホの歩行アプリで見ると、歩行距離27㎞になっている。最長記録達成!予定の22㎞より5㎞増加。約1時間の超過が生じたのとつじつまが合い、妙なところで納得する。
ただただ歩く、「歩行行?」の一日でした。
せら温泉・せら豆腐店、次回、世羅高原に来た際に、必ず立ち寄ること、リベンジを固く誓う。!(^^)!
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