2019年10月30日水曜日

奥出雲 (2019.10.30)

奥出雲に行こうと思ったきっかけは、松本清張の「砂の器」の舞台の一部が奥出雲の亀嵩(かめだけ)であり、そこに立っている「砂の器」の記念碑を見たいと思ったからである。広島からJRで行こうとすれば、芸備線と木次線を使うことになり、本数の少ない2路線なので、乗り継ぎだけで1日を費やしてしまう。今回は車を使うことにした。奥出雲の他の観光スポットを調べるといろいろあった。日帰りではきついので、三次で1泊し、恐羅漢山に登って帰ることにした。

朝6時に広島を出発し、三次東ICから松江道に入る。千代田を過ぎたあたりから深い霧に包まれることが多かった。高野ICで高速を出て、一般道で奥出雲まで。8:40、最初のスポット鬼の舌震(おにのしたぶるい)に到着。

「鬼さへ舌震はせし…」の歌碑。「鬼の舌震」とは奇妙な名称だが、「慕う」が変化したものらしい。
かつてこの地には玉日姫という美しい女神が住んでいたとされています。その女神をワニが慕い、夜な夜な通ってきたのですが、それを嫌った女神は巨岩で川をせき止めて阻んでしまいました。その後、ワニは一層激しく姫を恋い慕い、「ワニが慕った」が転じて『鬼の舌震』という名前になったといわれています。(奥出雲町公式観光ガイドより)

入口に備え付けてあったパンフレット。

パンフレットを片手に歩く。

まず、吊橋がある。

舌震の”恋”の吊橋。橋を渡る。

橋の上から下流。

上流。V字方の深い渓谷。

橋を渡ったところ。このルートはバリアフリーの道が整備されているが、行きは川辺沿いのコースを辿るので、一度引き返す。

橋のたもとから下に降りる。

吊橋の下を通る。

川辺沿いの遊歩道を行く。

玉目女橋を渡る。

烏帽子岩。

雨つぼ。画面中央下にある窪み。

急峻な岩壁と、その崩落により出来た谷の巨石群。これが鬼の舌震の象徴的な風景である。

川沿いルートはアップダウンが多い。

水中からのぞく岩にある穴が目のように見えるので、鬼の落涙岩と呼ぶ。

天狗橋が見えてきた。

天狗橋を渡る。

案内板に撮影ポイントとして紹介されていた、橋の上から上流方向。

下流、おそらく小天狗岩。

橋を渡ったところを登る。

水瓶岩(はんどいわ)を裏から見たところ。

また下に降りる。

橋の向こうにあるのが、休憩所の清心亭。

橋の上から上流方向。

下流に天狗橋。

清心亭から水瓶岩。30mの巨石の上に縦長の岩が乗っている。水瓶のように見えるのでこの名が付く。

上流の崩落岩。

水音に癒される。

 しばらく休んで、階段を登りバリアフリーのコースに合流する。ここから先はバリアフリーのルートしかない。

 自分が車を停めているのは宇根駐車場。1130mの地点。上流にはもう一つの駐車場がある。

上流に向かう。

バリアフリーのコースは遊歩道から一段高いところに設置されている。清心亭あたりを見下ろす。

 バリアフリーのコースは岩をくり貫くのではなく、岩に立てたポールの上に載っている。

豆などを蒸す道具、甑(こしき)に似ているので甑岩と呼ぶ。

千畳敷。

巨石がきれいに割れていて、鬼が刀の試し切りしたというので、鬼の試刀岩。

舌震上橋に到着。ここで引き返す。

橋の上から下流。

上流。

帰りはバリアフリーのルートを行く。

来る時に歩いた遊歩道は下の方。

崩落途中で止まった巨石。

吊橋が見えるとこまで戻った。

 先程と逆方向から橋を渡り、ウォーキングを終える。

入口の店も営業を始めている。

次に向かったのは、車で約30分。金言寺の大銀杏。直近の駐車場は有料なので、少し離れた無料駐車場に停めて歩く。

 樹齢約400年、樹高33m、幹周り6mの大樹。

多くの観光客が訪れている。自分は奥出雲に来るので始めて知ったが有名な観光スポットなのだろう。

思わぬ光景に、寝不足でぼーっとしていたが目が覚める。テンションも上がる。

銀杏の前には田んぼに水を張った池が広がる。

池の方から。

水面に移る銀杏。

 逆さ銀杏。この光景をネットで見て来たいと思った。

少し離れたところから。

銀杏と金言寺。

池を一周し銀杏の木下に戻る。

地面は黄色い絨毯。

銀杏の向こうには田園地帯が広がる。

金言寺裏の遊歩道から。

続いて向かったのは、趣のある庭がある絲原(いとはら)記念館。
絲原家は中世武家の一門で、初代善左衛門が江戸時代初期に備後国(広島県)から郡内大馬木村に移住。帰農して、間もなくたたら製鉄も始め、江戸時代中期に9代忠三郎が現在地にたたらの主力工場である高殿(鉄穴鈩)と居宅を移し、今日に至っています。
 約400年の歴史をもつ絲原家の現当主は15代徳康です。藩政期には松江藩の5鉄師の一人に任ぜられ、鉄師頭取も務めました。大正時代後期に、洋式製鉄の普及により約280年間燃やし続けて来たたたらの火を消し、家業を山林業に転換しました。その間、12・13代武太郎は貴族院議員として国政に参画し、国鉄木次線(現JR)の開通に尽力しました。14代義隆は半世紀にわたり地方自治にたずさわりました。(絲原記念館HPより)

庭園と記念館は別料金になったいる。今日は庭園だけ。

 庭園に入る。

庭を歩く。
奥出雲の山々を借景とした庭園は、全庭1,188㎡(約360坪)、この中に72㎡(約22坪9の池泉を有する池泉回遊式の出雲流庭園です。この場所は元はたたらの原料の砂鉄を採取した跡地で、江戸時代末年頃から築庭にかかり、約50年後の明治時代中頃に完成したものです。(絲原記念館HPより)

手入れの行き届いた庭。

庭園を出る。

洗心乃道という散策路に入る。

 散策路を進む。

 ゆっくり散策すれば1時間以上はかかる。

先程鬼の舌震でたくさん歩いたので、今日は途中で引き返す。

出口に向かう。途中、女子シニア軍団の写真を撮ってあげる。一人はタイマー撮影を主張していたが、その不慣れさを見て他のメンバーの要請に答えた。

さて、奥出雲に来るきっかけになった亀嵩に到着。

亀嵩駅。そばが人気で、列車には乗らずそばを食べるために大勢の人が来ている。

亀嵩駅のホーム。木次線。

宍道湖方面は日に9本、備後落合方面は日に6本の便がある。

亀嵩駅から少し離れたところに、砂の器記念碑がある。

訪れる人は少ないだろう。ひっそりとたたずむ。

隣に湯野神社。参道は樹木などの倒壊の危険があるため通行止め。

時刻は12時を過ぎている。記念碑のすぐ近くにある亀嵩温泉・玉峰荘で風呂に入る。

おなかが空いているので、入浴の前に昼ごはん。

玄関に亀の造形。「ここはかめだけ うさぎはいない」。シャレた演出である。

しばらく休んで温泉を後にする。

続いて向かったのは、奥出雲たたらと刀剣館。ヤマタノオロチをイメージした造形。

ひっそりとしている。入館者は自分ひとり。

たたらの炉底にできた鉄塊 、鉧(けら)。

たたらに火を送る鞴(ふいご)。

たたらの断面図の模型。

下に降りる。

ざっと見て外に出る。

続いて、追谷地区の棚田に向かう。公園の案内があったので車で登ったが行き止まり。狭い場所で何度も切り返し降りる。

少しはなれた空き地に車を停めて歩く。
奥出雲地方で盛んに行われていた「鉄穴流し」は、山を切り崩して土砂を流し、それに含まれる砂鉄を採取する方法です。この鉄穴流しは、山を切り崩すことはもとより、大量の土砂を河川に流すことから、流域の環境に大きな影響を与えました。川底が上がり洪水を起こしやすい「天井川」(川底が周囲の平地よりも高くなった川)となることや、流域の農業用水路が埋まることなどは負の側面です。その一方で、先人達は鉄穴流しの跡地を棚田に造成したり、川を流れ下った土砂を利用して新田開発を行うなど、跡地や土砂を有効に利用してきました。(出雲国たたら風土記HPより)

 綿打公園入口。

山道を登る。

展望台がある。

展望台に登る。

見事な棚田。これが見たかった風景。来た甲斐があった。

棚田と民家。箱庭の世界。

夜にはライトアップされる。路傍に並んだライト。

田んぼに林立するライト。

今日最後の目的地、おろちループに向かう。

直下に車を停めて見上げる。

おろちループ展望台。

登ってきたループを見下ろす。

道の駅・奥出雲おろちループに到着。
奥出雲おろちループは、広島県と島根県をつなぐ国道314号線の坂根~三井野原区間の高低差105mを一気に駆け上るために作られました。大小11の橋と3つのトンネルからなる日本最大規模の二重ループ方式道路です。名称の奥出雲おろちループは日本神話の「ヤマタノオロチ」より名づけられました。(奥出雲公式観光ガイドより)

道路をまたぐ橋を渡る。

展望台に登る。

展望台から見下ろす。

奥出雲の山々。

展望台を降りたところに、鉄の彫刻美術館。入館無料。

下田治という彫刻家の作品が展示されている。

庭にも鉄のオブジェが並ぶ。

紅葉と彫刻。

美術館の前のモニュメント。

平家展望台。

展望台とあるが眺望がない。下に広場があるので降りてみる。

ここも眺望がなく、橋を見上げるだけ。

上に戻り、三井野大橋(392m)の中央まで行く。

下を見る。高低差100m以上。JRは下の出雲坂根駅からスイッチバックで登ってくる。

遠くにJR木次線。ループの内側からは全体像は見えないが、木次線からはよく見えるようだ。おろち号という観光列車も出ている。

16時に奥出雲を出て、高速で庄原から三次まで。今日の宿、三次ロイヤルホテルに着く。カプセルルームだがアコーデオンカーテンを閉めて、個室風になる。

 

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